動きを感じる、チューブトレーニング(下半身編)

今回はロングチューブを使った下半身をやっていこうと思います。
と言っても以前に投稿しました上半身のトレーニング手段と一緒で「ひねる」動きを中心に行なっていきます!
ひねる動きを取り入れいている理由を前回では脳の働きから説明させて頂きましたが、人の身体以外の物質にも「ひねる」力を利用している物があります。どういった物に利用されているかもご紹介していきたいと思います。
まずはトレーニングの概要を説明をさせて頂きます。
トレーニングについて
下半身編と記載しましたが実際には下半身の筋トレ目的ではなく身体の中心部に近い股関節、腹部、殿部辺りを中心に刺激するモーションとなっております。
しかし、人によってそれぞれ力の入る部位は異なります、必ずしも特定の部位にちからが入らなければならないという正解はありません。
その時々で身体にとって必要な箇所に必要な分だけ刺激が入るため、日によって感じ方は変わります。
前回の上半身の時はペットボトルで代用できましたが下半身は物を持つ事が出来ないので足首にバスタオルを巻きつけるなど少し重り代わりになる物を使用してもらって大丈夫です。
もしくはそのままの状態で動作だけでも可能です。
お腹の中から外に掛かる圧力「腹圧」にも関係する動きです、慢性的な腰痛のある方も無理のない範囲でぜひお試し下さい。
院内では「バスケ、サッカー」などジャンプ力、瞬発力を必要とする学生に指導していますが、テニスやゴルフの体をひねるエネルギーを使うスポーツにも参考になるかと考えています。
お時間のある時は上半身とセットで行ってみて下さい。
そして本来の目的はトレーニングとはこうあるべきだという固定概念から外れ自分の想像力、思考で自分なりのトレーニング開発のヒントになればと思います。
「ねじる・ひねる」物質
冒頭でも少しお話しました、人間はあらゆる物質に「ひねる」力を加え「道具・祀る・身につける」我らの生活の一部として存在しております。
一つ共通の物として「縄」を例にあげたいと思います。
道具
古くは縄文時代に存在している土器に縄の存在を確認されています。土器自体に組み込まれているのではなく模様に縄を押しつけて出来たものがあります。この時代には稲の存在は確認されておらず、大麻の種が見つかっており麻で生成されていました。
しかし縄文人が着ていたであろう衣服などに使われていた縄で残っている物がないのですが、同じ時代今のヨーロッパにあたるところに「アイスマン」と呼ばれる民族が住んでいました。
彼らが氷漬けされた状態で発見されその衣服、動物の皮で作られた靴に糸をねじって作る「編む」技術により生成された縄が発見されています。
この時代から物をねじることにより物質の強度、長さの調整が可能で様々な用途で一つの道具として扱われてきました。彼らがなぜねじる現象を発見し利用する事になったのかは定かではありませんがその他カゴなどにも利用されていた痕跡が残っています。
祀る
縄文時代の土器も一部では食器などの使用目的だけでなく、供養や狩猟の安全祈願など祭祀を目的として製造されていた可能性もあると予想されています。
そして「ねじる」作用を加えられた、我々が現代でも目にすることのある代表的な物で挙げられるのは神社で見られる縄です。
この写真のような縄に見覚えがある方は多いと思いますがこの縄に込められる意味や由来を考えることはあまりないでしょう。
「注連縄」「七五三縄」「標縄」これら全て「しめなわ」と呼び同じ物を示します。
神社だけでなく神棚にも飾られます。
同じ物質にあらゆる表現がさているのにも意味があります。
・注連縄
一般的に表記されることの多い漢字で、注連は中国の文字をあてたものだそうです。
中国には死んだ人の出棺後、死者の魂が戻ってこないように家の入り口に清めの水を注いだ縄を連ねて張る風習がありました。
これを注連と呼び、日本では神聖域と現世を区別する意味が込められています。
・七五三縄
この漢字を用いられている意味には2つ説があります。
ひとつは、シメの子と呼ばれる藁を、右から七本、五本、三本としめ縄から垂らすことからきているという説。
2つ目は、しめ縄の七番目、五番目、三番目の位置に紙垂(しで)と呼ばれる稲妻のような形をした、白い紙を垂らすことから呼ばれている説があります。
七、五、三は全て奇数であり、これら奇数は陽数と呼ばれ神聖域に陰が入り込まないように陰陽道を用いられたと言われています。
・標縄
万葉集の歌の中で使われている表記であり、一定の区域を占有するという意味をさし示しており、つまり神社では神の占地という意味が込められております。
さらには編む(綯うとも言われる)方向にも意味がると言われており、
綯(な)い始めてから時計回りに捻っていくのが左綯い
反時計回りに捻っていくのが右綯いとなります。
身につける
道具の説明にて先に話が出ていましたが、靴を足に縛り付ける縄、上半身の服を動いても落ちないように固定しておく帯など既に縄文時代では何かを身に付けるために麻や後には稲などをねじる、編むことで使用していました。
その後、草履や下駄の鼻緒、ふんどしの固定部分、ねじりはちまきなど日常生活の必需品として、更に気合を入れる為・精神統一の為など我々の身近に存在する物がたくさんあります。
現代でも靴紐などをよく見ると繊維同士をねじりながら編み込まれている物もあります。
先ほど紹介した注連縄も飾るだけでなく身につける瞬間もあります。
それは相撲の横綱が土俵入りする時です、あまり相撲を見る機会がない方はわかりにくいと思いますが、その歴史は江戸時代から始まったと言われております。


今まで紹介した「ねじれ・ひねる」に関するものは全て一つの物質で構成されているわけではなく、二つ以上の同じ繊維を使用し構成されています。
誰がこのような製法、力の加え方を考えたのかまるで想像がつきませんが、「ねじる」力が加わることでより強大なエネルギー・安定感・固定力を生み出す事が可能となりました。
これら物質と異なり人間は身体が見た目では一つ。しかし実際には何兆個の細胞とあらゆる繊維の集合体である筋肉が皮膚の内側に存在します。
筋肉を構成する繊維も伸び縮みだけでなくねじる動きも存在します。
ただ一般的なストレッチを含めトレーニングは縮める伸びる方向へのアプローチが多く見られます。
もし筋繊維にねじれる動きが運動中に機能すれば紹介してきた物質のように安定感、爆発的なエネルギーを生み出す事が可能となります。
筋肉自体も同じ動きばかり行っているとその動きがパターン化しその他必要な動きが運動時に発揮できない事があります。
普段のトレーニングで少ないであろうひねる動きを取り入れてみて下さい!
今から紹介するトレーニングは院で行なっている基本的な動きになります、どんどん思いついたままに自分でも動きを増やしていきましょう!
トレーニング開始
・チューブを引っ張る動作を行いますが身体を最後まで捻れる負荷で行ってください。力任せに行わないように長さ調整お願いします。
・上半身の時のトレーニングに比べると少し筋肉への刺激が強い動作や姿勢になります、一般の方は特に無理のない範囲で行いましょう。
・刺激の入る部位ですが、正解はありません、同じ動きでも日によって部位は変わります、その時の体の反応に任せて行いましょう。
・このトレーニング前後の動きの比較をしたいのでジャンプなど普段のスポーツで使う動きが分かり易いと思います
・可能であればトレーニング前後の比較動作、トレーニング中の動画を撮影する事をお勧めします。実際に自分が動きている感覚と実際の動きを確認してみましょう。
・最後に左右対象の動きをしますが左右差がある事は気にしないで下さい。無理やり合わせようとすると目的がぶれてしまいます。左右差があるのは当たり前なので心地の良いぐらいの動きで行ってください。
上向きで寝転んでいる状態で


基本的なポジションはどちらか片方の足にチューブの真ん中ぐらいを掛け、両手でチューブを握ります。
チューブは両脇を通り背中で下敷きにするようにします。



・チューブを掛けている脚を天井の方に向かってあげます
・左側の足の場合まずは右側の出来るだけ遠くの場所に足指をつけに行くように捻っていきます。この時膝も伸びて遠くまで捻ります。
・その後足上げのポジションに戻りながら次は膝、股関節を90°ぐらいに曲げた状態でいけるところの最大まで開いていきます。
・足を交代しこの動作を繰り返し行います。
うつ伏せの姿勢



・チューブをまず両足のくるぶし辺りに掛けて、持ち手は片方の手でチューブを握ります。
・膝の角度は90°に近いもしくはも少し急な角度で保持し、足を少し広げチューブにテンションをかけます。
・動きはチューブを持っている方と逆側に膝の角度はキープしながら足を倒しながら体を捻ります。
・持ち手を変えて逆も行います。
四つん這いの姿勢
・ポジションは片手づつチューブの両端を上から押さえて、足にかける方は片方づつ切り替えて行います。



・膝は軽く曲げたままチューブを伸ばすように足を天井側に上げていきます。
・次に逆の足側の出来るだけ遠いところの床に指先をつけにいくように身体を捻っていきます。
この時背骨は固定せずに側弯しても構いません。
・その後元のポジションに戻りながら上向きの時にやった時のように股関節を広げていきます。
・足を交代して行っていきます。
立っている姿勢
・チューブの両端を体の前で両手にて保持し、片方の足で真ん中あたりを踏みます



・チューブを踏んでいない足の後を通りながら出来るだけ遠くの床に足先をつけにいくように体を捻ります
・そのまま体の真横から股関節を開きながら足を上げていきます
・上げ切ったところで少し静止し、足を下ろしていき着地の瞬間は膝のクッションを使うように軽く膝を曲げます
・足を交代し行っていきます
トレーニングの回数などは最初は少なめから始め負荷がかけれそうであれば回数を増やす、チューブを短く持てば負荷がかかりやすくなります。
今回もインスタグラムに動画を投稿しているので下のリンクから閲覧可能となります。
冒頭でも話したようにこれらのトレーニングはただの一部に過ぎず自分なりに改良を加えながら参考にしていただければありがたく思います。
今後も新しい方法を編み出した際は投稿させていただきたいと思います。
トレーニング動画や治療風景を投稿しています!