「症例」ロードバイクによる両膝の痛み 20代 男性 大学生

当院には競輪選手、学校の部活で自転車部、トライアスロンなど競技・スポーツとしてされている方や趣味でロードバイクを乗られている患者様も来られます。
通勤・通学など日常的にも目にするようになったロードバイクですが、見て分かる通りスピードは普通の自転車とは比べ物になりません。
一般の方ですと時速20~30㎞程度、プロになると70㎞前後ほどのスピードが出ます。衝突・転倒などの突発的なケガをするリスクはありますが、ペダルへの荷重、力の入れ方・骨盤の動き・上半身の力みなど微妙な動きの不具合によるケガも多くみられます。
院では特に膝を痛められて来院されるケースが多く、自転車の種類・体格・競技・距離・サドルポジションなど同じロードバイク競技でも負傷原因は一つとして同じものはありません。
膝のケガとしては腸脛靭帯炎・膝蓋靭帯炎・鵞足炎・大腿四頭筋付着部炎など筋肉もしくは腱のへの負荷がかかり続けることにより発症する傷病が多くみられます。痛くなれば安静を余儀なくされ、ライディング時に必要な筋肉の低下、なにより痛みを抱えながら走っていても楽しさを感じれなくなることもあります。
負担が蓄積することで出てくる症状は「違和感程度だからすぐに治るだろう」「筋肉の張り感が残っているから距離を短くすれば大丈夫だろう」という状態からある瞬間、突然動けなくなるぐらい痛みが現れることがあります。
今回も症例も同じで途中までは違和感程度でしたが帰るころにはバイクから降りなければいけないほどの症状が発症していました。
違和感や筋肉のとれない張り感は既に警告だと思ってもらっていいです、痛くなってしまう前の処置が重要となります。
Contents
症例 サークルでロードバイクに乗っている 男性 20代 大学生
【起因】
今年の春に友達と自転車で山道を走りに行ったのをきっかけにロードバイクを始める。
ロードバイクを購入後、社会人サークルにも入り週末には約30㎞以上走る、競技的な要素ではなく目的地・コースを決めて走りに行くという活動内容です。
最初の2,3か月はロードバイクという通常の自転車とは違う姿勢・スピード・力が必要なため特にケガはないものの筋疲労を感じることもあった。
週末のサークル活動含めて単独でのライディングも行っている。
サークルの活動で淡路島1周(通称アワイチ)距離にすると約150㎞あり平坦な道だけでなくかなりのアップダウンを含むコースも制覇する。
そして次は8月に琵琶湖1周(通称アワイチ)距離にすると約200㎞、自宅スタートで約300~350㎞に挑戦する。
順調に進むも1周の後半に膝にまずは違和感を感じ、1週後自宅に向かっている間に痛み、自宅付近まで来たところで自走が出来ないほどの痛みによりロードバイクから降りて帰宅。
一度の外力ではなく、動き続けている途中での痛みであった。
その後階段の上り下りなど日常生活でも支障が出た為、病院を受診。特に骨に問題はなく使いすぎによる痛みと診断され3ヶ月安静にするように言われる。
指示のあった期間安静にし、10月の終わりにロードバイクに乗るが10kmを超えたあたりから両膝に痛みが出だした。
そしてこのまま安静にしていても治らないと考え当院に来院してくださいました。
【エコー検査】
エコー検査では
右膝:内外側伴に靭帯には以上は見られないが外側は腸脛靭帯、内側は鵞足ぶに炎症
左膝:内側は特に問題なし、外側は腸脛靭帯の下部にポイント的に炎症が存在した
両膝ともに特に肉離れの形跡、内出血は見られなかった。
【症状】
来院時は10月末に久しぶりに乗って痛みがあってから1週間後に来られました。
その時点では日常生活において階段の上り下りの痛みが残存、歩行時は痛みがない状態でした。
圧痛は多少あるものの痛みは比較的軽度で、エコー検査により現在負担がかかっている部分を特定。
触診では患部の筋緊張は特に気になるところはありませんでしたが、逆に両方の臀筋、ハムストリングスの緊張が他に比べると弱い状態。
筋緊張のバランスは非常に判断が難しく何をもってして筋緊張が強すぎるのか、弱すぎるのか。
施術と動作を繰り返しながら調整していきます。
ただロードバイクに乗り始めたばかり、そのうえ3ヶ月の安静によりロードバイクに必要な筋肉はまだ付いていないと考えられる。
ロードバイクに乗りこいでいると少しづつ痛みが出てくる、ただ歩いているだけでは酷くない、ではロードバイクのライディング時の姿勢でペダルを回転させる動きに原因があるのは明らか。
ロードバイクに乗り始める前の身体の状態や行動の環境、乗り始めてからの身体の変化など細かくお話を聞き原因と考えられる箇所を特定。
施術箇所は中臀筋・縫工筋・薄筋・腸脛靭帯。
【治療】

緑:アキュスコープ 青:マイオパルス 黄:金属プレート


1回目来院時
院内で動いてもらう限りこう動くと痛いという痛みの再現性がなくはっきり確認出来ない為、検査で施術箇所を特定し行っていく。
まずは実際に少し炎症が残存している腸脛靭帯、鵞足に金属プレートにより施術。
マイオパルスにて腸脛靭帯・薄筋・縫工筋を施術。
その後アキュスコープにて同筋肉のポイント施術を行う。この日は殿筋の施術は行わず炎症部の局所的な施術のみ。
次回までに来院時にロードバイクで30㎞まで痛みが無ければ走ってから来てもらうように指示する。
2回目来院時
2回目来院日当日にロードバイクで30㎞走る、15㎞~20㎞辺りで以前ほどではないもののまだ両膝伴に少しづつ痛みが出てくる状態。
1回目の施術の効果は膝の炎症、痛み自体は軽減するもののまだ持続的なライディングで負担がかかると痛みが出る。
2回目の施術は1回目の部位+両方の中殿筋へのアプローチを開始する。
中殿筋に関してはマイオパルス、アキュスコープの併用により施術を行う。
1回目同様に次回来院までにロードバイクで走ってもらう。
3回目来院時
2回目以降、ロードバイクは天候の問題で乗るタイミングがなかったので軽くランニングをしてから来院。
ランニングでは右膝の内側部の痛みが少しあるもののその他の部位は違和感程度。
この日もポイントを変えながら施術を行う。
4~6回目来院時
3回目以降は調子よくロードバイクで走ることができ、施術を重ねていくごとに痛みが消失していき、筋肉痛のような症状も少し現れ始める。
筋全体に発生する筋肉痛は不思議なことにどこかが痛い状態・ケガをしている時は同じ運動量でも通常時より感じにくいことが多い。
むしろ運動しているのに筋肉の張り感がなくふにゃふにゃな状態の場合もある。
筋肉痛は一つの指標として判断することが多い。ようやく足に力が入り始めたと実感できることもある。
7回目来院時
7回目来院時には50㎞を走っても、筋肉全体に張り感が現れ、痛みはほとんど消失、運動が可能となった。
もともとロードバイクを始める前から調子が悪かった腰も含めて施術を開始する。
ここからは距離を伸ばしていき経過を観察していく。
治療回数は計7回
現段階の最終目標はビワイチ約300㎞を制覇することで今も距離を伸ばしながら通院して頂いております。
少しづつ筋肉も肥大化してきおり、ようやく足に力が入り始めました。
約3か月という安静期間がありましたが、経過を見ながらリスクのない痛みなら動かしながら施術し改善すのが今回はベストな方法でした。
他の競技や日常生活の動きで安静にしては痛くなるを繰り返しお悩みの方はご相談下さい。
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